
米菓の奥深さ ─ おかき・あられ・せんべいの世界
はじめに
来客のときに器に盛られたおかき。正月に残った餅を細かく割って焼いた餅あられ。湯気の立つお茶と一緒に出されるせんべい。
思い返せば、米菓はいつも身近な場面にありました。
ひと口かじれば、香ばしさと米の甘みがふわりと広がり、記憶の奥から懐かしい風景が立ちのぼる。米から生まれた菓子は、ただの“おやつ”ではなく、人と暮らしに寄り添ってきた存在です。
日乃本米菓製造は昭和八年の創業以来、米と真剣に向き合い、おかきとあられを作り続けています。ここでは「おかき」「あられ」「せんべい」という言葉を手がかりに、それぞれの違いと魅力を改めて見つめてみます。
おかき ─ もち米が醸す深み
おかきはもち米を原料とし、焼くとふっくら膨らみます。外側は香ばしく、中にはもち米ならではの粘りと自然な甘みが残ります。角形や丸形、揚げおかきなど形や仕上げ方も多様で、噛むほどに旨みが広がるのが魅力です。
贈答品としても選ばれることが多く、特別な時間を演出する存在として親しまれてきました。
あられ ─ 小粒だからこその軽やかさ
あられもおかきと同じくもち米から作られます。違うのは大きさ。小粒に仕立てられることで、軽やかな食感と食べやすさが生まれます。
ひと粒ひと粒に凝縮された香ばしさ。口に含めばサクッとした音が響き、ついつい手が伸びてしまう。味付けの種類も多く、醤油や塩、海苔や砂糖醤油まで、世代を問わず楽しめる米菓です。
せんべい ─ うるち米から生まれる香ばしさ
せんべいは主にうるち米を使い、薄くのばして焼き上げるのが特徴です。バリッとした歯ごたえと、醤油や塩の香ばしい風味が持ち味。昔から日本茶とよく合い、庶民のおやつとして愛されてきました。
日乃本米菓製造はせんべいを手がけていませんが、この存在があるからこそ、もち米から生まれるおかきやあられの違いが際立ちます。
違いを一言でまとめると
・おかき:もち米を使い、ふっくら膨らみ、噛むほど旨みが広がる
・あられ:もち米を小粒にして軽やかに仕上げたもの。香ばしく食べやすい
・せんべい:うるち米を原料に、平たく硬めに仕上げた香ばしい菓子
日乃本米菓製造のこだわり
当社は、もち米を生かしたおかき・あられに専念しています。もち米を蒸した時の餅の堅さ・柔らかさなど産地や品種による違いを生かし、うるち米では得られない、もち米の甘みと香りを逃さず生地に閉じ込めます。
関東随一といわれる那珂川水系の澄んだ水を用い、職人が水加減・火加減を見極めながら丁寧に焼き上げる。こうして生まれた一粒には、香ばしさと後味の清らかさが宿ります。
ぜひ、弊社のおかきとあられを通して、米菓の奥深さを味わっていただければ幸いです。