
江戸時代の「砂糖」と「たまりしょうゆ」
—— 甘辛文化が生んだ、芯のある旨さ
「江戸時代」「砂糖」「たまりしょうゆ」。
この三つの言葉は、日本の味覚の根幹を語るうえで欠かせない要素です。
現代では当たり前の“甘辛い味付け”も、江戸という時代の中で洗練され、庶民の食卓に深く浸透していきました。
江戸の町で育まれた味は、決して上品な薄味ではありません。
鰹節の濃いだし、醤油の力強い香り、そして砂糖による甘み。
これらが重なり合い、「濃いが、後を引く」味わいが生まれたのです。
江戸時代、砂糖は“贅沢品”から“味を決める調味料”へ
江戸初期まで、砂糖は非常に貴重な輸入品でした。
しかし流通が進むにつれ、江戸の料理人や家庭の台所にも砂糖が使われるようになります。
ここで重要なのは、砂糖が「甘くするため」だけに使われたのではない点です。
砂糖は塩味の角を和らげ、旨みを持ち上げ、香りを持続させる。
つまり、料理全体の完成度を高めるための調味料として重宝されました。
佃煮、煮物、蒲焼のタレ、そばつゆ。
江戸を代表する料理の多くが、砂糖と醤油のバランスによって成立しています。
甘辛文化を支えた醤油の進化
砂糖が使われるようになると、料理はより濃厚になります。
そこで求められたのが、砂糖の甘みに負けない“力のある醤油”でした。
江戸時代後期にかけて、濃口醤油が発展し、香り・色・コクの三拍子がそろった醤油が食文化を支えていきます。
その流れの中で、今も特別な存在感を放つのが「たまりしょうゆ」です。
たまりしょうゆとは何か —— 醤油の原点に近い味
たまりしょうゆは、一般的な濃口醤油に比べて大豆の比率が高く、水分が少ない仕込みが特徴です。
とろりとした質感、濃い色合い、そして一口で分かる深いコクと旨み。
麹菌の力を活かし、時間をかけて熟成されることで、豆の旨みが凝縮された醤油になります。
この強さこそが、砂糖と合わせたときに真価を発揮します。
砂糖 × たまりしょうゆ —— 甘辛の完成形
たまりしょうゆ単体では、力強すぎると感じることもあります。
しかし砂糖を合わせることで、塩味の輪郭が丸くなり、香ばしさが前に出て、後味に“余韻”が生まれます。
江戸の甘辛文化は、「濃いのに、なぜかまた食べたくなる」
この不思議な感覚を大切にしてきました。
賛否両論の米菓「大鬼しみるげんこつ」
日乃本米菓製造の「大鬼しみるげんこつ」は、
まさにこの江戸の甘辛文化を、現代の米菓として表現した一品です。
「めちゃくちゃ美味しい」「こういうのが欲しかった」
という声がある一方で、
「しょっぱい」「硬すぎる」という感想もあります。
万人受けはしません。
しかし、「刺さる人には強く刺さる」——それがこの商品の本質です。
“大鬼・しみる・げんこつ”に込めた意味
・げんこつ
拳のようにゴツゴツとした無骨な形と、噛み応えのある硬さ。
・大鬼
分厚く重量感のある生地。濃い味をしっかり受け止めるための設計です。
・しみる
焼き上げた生地にヒビを入れて、たまりしょうゆ(本醸造)をベースに、
砂糖とホタテエキスで整えた特製しょうゆダレを、芯まで染み込ませます。
製法が生む“噛むほどに増す旨さ”
国産もち米100%を使用し、あえて堅めの食感が出るように厚く成形。
焼成 → 漬け込み → 加熱乾燥。
この工程によって、噛むたびに米の甘み、たまりのコク、砂糖の丸みが順にほどけていきます。
硬さは、旨さを蓄えるための“貯金”。
時間をかけて噛むことで、味わいは完成します。
おすすめの楽しみ方
・日本酒(冷酒〜燗)
・濃いめの緑茶
・少量ずつ、ゆっくりと
1月は「大鬼しみるげんこつ」の出来立て企画を行います。
しょうゆダレで味付けして3日以内に包装した「大鬼しみるげんこつ」をお届けします。
江戸時代に育まれた砂糖とたまりしょうゆの甘辛文化。
その余韻を、現代の一口として、ぜひ味わってみてください。


